ゴールデンウィークのはじまりである昭和の日は、これから続く連休をどのように過ごそうかと、毎年、心なしかワクワクする。そのなかで、昨年の昭和の日は特別であった。平成の終わりを目前に控え、一つの時代が終わる寂しさとともに、5月1日からの元号、令和に新しい時代のはじまりを感じ、時代の流れを痛感した。しかし、今年は旅行どころか、外出もままならず、家に巣ごもり状態。全世界が大きさ0.1μmほどの目に見えないウイルスに脅かされている。このような状況になるとは、一年前の今頃、誰が想像できたであろう。
新型コロナウイルスは、人に対してだけでなく、社会に対しても様々な影響を及ぼしている。東日本大震災の時にも指摘されていたが、科学的根拠に基づく状況把握、そして適切な対応を促すコミュニケーションの必要性が改めて認識されたと思う。東日本大震災の時と違うのは、ICTとSNSの普及であろう。YouTubeによる情報発信やZOOM飲み会など、皆、それぞれ工夫を凝らして、この苦境を乗り越えようとしている。
しかし、多くの人は日々変わる社会の状況に戸惑いを感じている。子どもたちにとっても、学校が突然3月より休校となり、自宅で自習あるいはオンライン学習している状況である。2018年PISAの調査結果によれば、我が国の学習活動におけるデジタル機器の利用は他のOECD諸国と比較して格段に低い。その報告を受けて、一人一台のパソコン導入の整備が動き出したばかりだったが、新型コロナウイルスにより推進のスピードは加速するであろう。一方、機器のハード面とともにコンテンツの充実化も大事である。新しい学習指導要領がこの4月より順次、小学校から始まり、教科・科目横断の新しいアプローチが試みられている。私が所属している生産技術研究所では、次世代育成オフィス(ONG: Office for the Next Generation)が中心となって、自宅学習している子どもに向けてオンライン教育向けのSTEAM STREAMをゴールデンウィーク前に開設したばかりである(P.11も参照ください)。http://ong.iis.u-tokyo.ac.jp/ong-steam-stream/
研究を題材にSTEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, and Mathematics)教育として、教科・科目を横断した教育コンテンツとして展開している。はじめたばかりなので、改善すべきことは多い。興味や関心のある方、ong(at)iis.u-tokyo.ac.jpまで是非、ご意見やアドバイスを。
今年の昭和の日は、奇しくもこの原稿を執筆している。コロナ後の世界は大きく変わるであろう。来年のゴールデンウィークは、どのように過ごしているのだろう。