SNSといえば、まあ、あんまり評判はよくない。度を越した誹謗中傷が有名人を自殺に追い詰めた。デマやフェイクニュースの温床になっている。世間の意見の分断を煽る……。
これらいずれもまったくその通りなのだが、しかしその一方で、ツイッターが科学の進歩に貢献したという楽しいニュースもある。
アマチュア写真家がツイッターに投稿した一枚の写真を、ダニの分類の専門家・島野智之教授(法政大学)が目にした。そこに写っているのは、どうも今までに見たことない新種のようだ。で、実際に採集して調べた。やっぱり新種だった。命名・Ameronothrus twitter(チョウシハマベダニ、俗名ツイッターハマベダニ)。「発見者」にちなんでtwitterと学名に入っている。
そのニュースを聞いた鳥取大の大学院生・大生唯統おおばえゆいとさんが、ツイッターにダニの写真を投稿した。今話題のハマベダニってこれか、と。それを見たのがまたも島野教授。鳥取でハマベダニは珍しい。いや、こいつは、なんかちょっと違うんじゃない……?
そして調べてみたら、ビンゴ!別の新しい種だった。きっかけがリツイートだったので学名はAmeronothrus retweet(イワドハマベダニ)。
この話題はもちろんツイッター上でバズった。「次の学名はiineかな」という声もある。ツイッターとハサミは使いようである。
だけど、最初にも書いたように、SNSはしばしばとても評判が悪い。諸悪の根源のように言う人さえいる。さて、ではどうすればツイッターを誰もが安心して使えて、最新の情報が入手できる、楽しいコミュニケーションツールにできるのかといえば、見通しは立たない。
ダニの写真を見ながら、このような使い方を真似していくしかないのだろうな、などと思うのだった。
大生さんのTwitter投稿より