連載エッセイVol.165 「ステイホームを彩るサイエンス系映画」 大島 まり

2021-05-25

最後に本コラムに原稿を執筆してから一年が経過。変異株による新たな感染拡大や、ワクチン接種の遅れなど、我が国における新型コロナの先行きは未だ不透明です。科学技術立国として最先端のサイエンスや技術を開発しながら、それらを享受できない様々な社会的課題が明らかになってきました。科学に問うことはできるが、科学のみでは答えることができない、そのことを痛感させられます。

さて、残念ながらステイホームは当分続くでしょう。そこで、サイエンス系の映画を見て、気分転換してみませんか。家で過ごす時間が少しでも楽しく、でもちょっと考えさせられる、そんな時間になればと思います。私の独断ではありますが、三本の映画をご紹介しましょう。

まず、最初は「アポロ13(Appolo13)」。三回目の月面着陸を目指すアポロ13号の物語です。しかし、その途上で爆発事故にあい、様々な危機に直面しながら、地球へ見事に帰還します。現実の世界での活きたサイエンスやテクノロジーとは。そして、それらを身につけ、必要なときに発揮するためにはどうしたらよいのか。私にとって、研究者、エンジニアの原点を教えてくれた映画です。今まで何回見たことか。。。宇宙船と地上のリモートを通したやりとりや、チームワークとリーダシップなど、1995年の映画ですが、今の時代にも通じる点が多いです。

二番目は、「奇蹟がくれた数式(The man who knows the infinity)」。インド人数学者ラマヌジャンの半生を、ケンブリッジ大学ハーディ教授との師弟関係を織り交ぜながら描いた、純粋で美しい映画です。正式な数学教育を受けていないが、天才的なひらめきを持つラマヌジャンを受け入れるハーディ教授の懐の深さ。その一方、人種や宗教の違いと差別など、Diversity & Inclusionのあり方を考えさせられます。ハリウッド映画とは趣が異なる、お薦め映画の一つです。

最後の三本目は、「ショーシャンクの空に(The Shawshank Redemption)」。冤罪により投獄された銀行員のお話。サイエンスとは直接関係ないですが、限られた厳しい環境で目的を達成する点ではアポロ13と同じです。ここでは、多くは語りませんので、是非見てください!

長引く新型コロナ禍、私たちに必要なのは希望なのかもしれない。一年後に、状況が改善されていることに願いをこめて。

『学内広報』no.1546(2021年5月25日号)より転載