植物に話しかけると良く育つ。このような言い伝えを聞いたことはあったが、言葉を発しない植物が人間の思いを理解できるなんてあり得ないと思っていた。しかし、そのような考えは間違っているのではないかと、最近、思うようになった。
四年前に母が脳梗塞で倒れた。その後、回復したが、かつてのように動くことが難しくなり、家にあった木や花の手入れがおろそかになっていた。このまま放置するのであれば、処分した方がよいかとも考えたが、母が手塩にかけて育てた花を捨てるのは忍びない。かと言って、花の手入れは、小学校の夏休みの宿題だった朝顔の栽培以来。そこで、まずはと、水をあげ始めた。そうすると、茶色にくすんでいた植物が、元気な緑色になってきた。気のせいか喜んでいるようにも見えて、しっかりと面倒を見てあげないといけないな、と思うようになった。そして、花が元気だと、母も元気でいてくれるとの思いもあったりした。
今では、インターネットで剪定や育て方を調べ、せっせと面倒をみている。花の中でも、バラはとてもデリケートで、すぐに虫がつくし、枯れやすい。出張や忙しい時には水をあげるのが難しいため、インターネットで水やり器を買って設置した。園芸用の機器も色々あり、植物の種類や病気に応じた薬や肥料も様々あり、その奥深さに驚くことが多い。昨年は、バラの害虫被害がひどく、冬の間は葉っぱも落ちて、きちんと花が咲くのかと大変心配だった。土を入れ替えて肥料もあげたら、なんと新しい芽も出て、写真にあるようにこの5月にきれいなバラが無事に咲いた。
植物は言葉ではなく、何らか別の形でコミュニケーションをし、私たちの思いを理解しているのではないかと感じる。近年、土砂災害など自然災害が増え、地球温暖化対策もあまり進んでいないように見える。私たちは植物の発するメッセージを受け止めてあげているのだろうか。