連載エッセイVol.89 「なぜだろう、なぜかしら 新シリーズの変貌 編」 廣野 喜幸

2015-01-08

私が自然科学好きになったきっかけのひとつは、小学生時代の理科の副読本『理科の学校なぜだろう、なぜかしら』(実業之日本社、1955-6年)シリーズであった。教科書だけでは解消されない疑問が1問1答形式で次々と解き明かされてゆくのは無上の快感であった。同シリーズは、1977年にビジュアル化されリニューアルを果たしたが、1997年以降品切重版未定が続く。「こうしたスリリングな体験が理科好きの後押しをするのに、小学理科の副読本は不振なのか」と落胆していたところ……

どっこい、小学理科副読本は活況を呈していたのですね。『理科なぜどうして』(偕成社)、『なぜなに理科』(小学館)、『なぜ?どうして?科学のお話』『なぜ?どうして?もっと科学のお話』『なぜ?どうして?科学なぞとき物語』(以上、学研)、『なぜ?どうして?科学の不思議親子で楽しめる!』(池田書店)、『たのしい!科学のふしぎ なぜ?どうして?』(高橋書店)、『米村でんじろうのイッキに読める!おもしろ科学』(講談社)、『レイトン教授のふしぎ!なぜ?科学の話』(主婦と生活社)、『10分で読める!わくわく科学』(成美堂)。フェイドアウトしたのはわが『なぜだろう、なぜかしら』のみかとさびしく感じていたところ……

2012年12月、ついによみがえってくれました。ビジュアル化を受け継ぐことなく、先祖返りしていました。質問項目も106項目から40項目へと減少し、2分冊が1冊にスリム化していた。質問項目の内容は……、あれ、前シリーズと同じ質問がない。コミュニケーションはその名の通り、双方向的であるのが当たり前である。ところが、科学コミュニケーションは一方向的になりがちなのですね。受け取る側の思いはなんのその、伝えたいことを一方的に伝達し、ほとんど何も伝わらず、受け手側はその後敬遠するようになる失敗パターンを繰り返す。

そうではなく、同シリーズは、子供たちから質問を集め、双方向性がはかられていたのが画期であった。第3シリーズの項目内容が第1・第2シリーズと異なっていることは何を意味しているのだろう。子供たちの質問内容が変わったのだろうか。それともリサーチをしなくなってしまったのだろうか。う?ん、気になる。この点についてはまた次回。再見!

2014年12月19日号