「第2回 RD-Cafe」開催報告

2019-03-05

「7000以上あると言われる稀少疾患(Rare Diseases, RD)について多くの人の知ってもらうこと」を目的に企画されたRD-Cafeの第2回が2019年3月4日に東京大学の本郷キャンパスにある山上会館で開催されました。病気の専門的知識だけでなく、そういった病気と共に生きるという経験についても知ってもらいたいという考えから、日本メープルシロップ尿症の会代表の藤原 和子さんをゲストにお迎えして、参加者みんなで「対話」を行いました。

1. 藤原和子さんからのお話

「メープルシロップ尿症」は先天性代謝異常症の一つで、日本では生後すぐに赤ちゃんが受ける新生児マススクリーニングによって発見されます。藤原さんは産院からある大学病院にすぐに行くようにとの連絡があり、そこで告知されたそうです。当時対処療法ではあるものの既に食事療法があったこと、そして管理栄養士としての知識を持っていたことが疾患と前向きに向き合うのに役立ったそうです。食事療法は一生継続する必要があり、その一部として治療用特殊ミルクは重要な栄養源ですが、10年ほど前に薬価が改定され、値段が6倍になるという話があったそうです。このことがきっかけとなり患者会としての活動を始め、2015年の難病制度が見直しされたタイミングで現在のメープルシロップ尿症の会を立ち上げられました。その背景には生体肝移植による治療を必要とする患者さんがいるということもあったそうです。患者さんにとって食事の管理が何より大切だそうですが、そういった管理が必要な人がいるということが社会でもっと理解されるようになってほしいと願っているそうです。成人されたお嬢さまもお越しいただき、学校や職場での苦労や工夫についてもお話を伺うことができました。また、普段食べているという低たんぱく質食も実際に試食させていただきました。

2. 参加者の対話

藤原さんのお話を聞いた上で、参加者は感じたことや思ったことを自由に共有しました。参加者からは、本当は食事制限をしなくてはいけない患者さんに対して気遣いがなされるべきなのに、みんなで一緒に同じものを食べる、あるいは出されたものを残さないなどが「普通」と考えられているため、逆に患者さんが周りに気を遣わなくてはいけない現状がどうしたら変わるかなどについて意見が出されていました。実際に患者さんやそのご家族のお話を聞くことで、今後それぞれが何ができるのかを考えるきっかけになってもらえたらと思います。

本イベントは昨年に引き続き東京大学医学教育国際研究センター講師の孫 大輔 先生と東京大学先端科学技術研究センター・JSPS特別研究員の渡部 沙織さんと共に企画・実施を行いました。今後もお二人にご協力をいただきながら、このような活動を続けていきたいと思います。

東京大学科学技術インタープリター養成部門
特任講師 見上 公一