2018年度のプログラム修了予定者4名による、修了研究発表会および特別講演(講演者: 伊藤 浩志)を開催します。
「科学と社会」をめぐるさまざまなテーマをめぐって、活発な討議が期待されます。
一般公開ですので、多くの皆様のご参加を歓迎します。
入場は無料で、参加申込みも不要です。
日時: 2019年2月13日(水)13:30〜17:00
会場: 駒場Ⅰキャンパス 21KOMCEE West B1F レクチャーホール 【地図】
プログラム
*1人当たり15分の発表を行い、10分の質疑を行います。発表タイトルは仮題です。
13:30~13:35 開会挨拶
– 第1部 - 修了研究発表会
13:35~14:00 菊池 豪 (工学系研究科 博士課程)
「工学の考え方を体験するための「場」をつくる ―ワークショップの実践に向けた基礎的検討―」
14:00~14:25 下村 優輔 (総合文化研究科 修士課程)
「「高校生・大学生のための金曜特別講座」の参加動機の調査」
14:25~14:50 馬場 絢子 (教育学研究科 博士課程)
「臨床実践家によるエビデンスの捉え方」
14:50~15:15 涌井 恵 (理学系研究科 修士課程)
「高校生物の教科書に見られる身体教育: 日本と台湾の比較」
15:15~15:20 講評 – 廣野 喜幸(部門長・情報学環、総合文化研究科教授)
– 第2部 - 特別講演
15:30~17:00 伊藤 浩志(脳神経科学者、科学技術インタープリター養成プログラム3期生)
「情動の脳科学から見たトランスサイエンス ─福島原発事故を事例として─」
発表概要
科学は客観的で公正中立だと信じられてきた。しかし、科学論争には常に価値観、利害がつきまとい、ときに見解は真っ二つに割れる。現在の科学論争は、「安全は科学の問題、不安は心の問題」とする安全安心二元論を前提にしている。背後にあるのは理性中心主義だ。
優位と見なされる理性の力で、二項対立的に劣位に置かれた情動は排除され、安全は理性的(科学的)に議論される。この点は、正しい科学知識の普及を図り御用学者と非難される科学者も、彼らを批判して左翼、科学オンチ扱いされる専門家も同じだ。結果として、住民参加を促す掛け声とは裏腹に、不安は心の問題として置き去りにされ、被災の言葉は失われていく。脳科学の進歩で、情動の役割が再評価されている。社会心理学などのリスク認知関連分野、「安全とは何か」を問う哲学も例外ではない。福島原発事故を例に、安全安心二元論(理性中心主義)に見直しを迫る情動の脳科学の視点から、トランスサイエンス問題を再考する。
- 伊藤 浩志 プロフィール
1961年、静岡県生まれ。東京大学大学院 総合文化研究科 身体運動科学研究室 博士課程修了(2010年)。専門は脳神経科学、ストレス研究で博士号取得。科学技術インタープリター養成プログラム3期生(2008年度修了)。元時事通信社記者(〜2001年)。脳死臓器移植、遺伝子組み換え食品、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件など、科学が絡む社会問題を担当。福島市在住。著書に『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』(彩流社)などがある。
※※※カテゴリ1つ未設定